能登畠山氏七尾の歴史
10周年記念特別企画
〜能登畠山家創立600年記念事業にて〜

能登畠山家創立600年ポスター
能登畠山家創立600年ポスター
「能登ふるさと博〜能登畠山家創設600年事業〜」
<2008年のイベント一覧>
「能登の史跡展」8月1日〜10月31日→能登国分寺跡展示館
「『七尾城』絵画・写真展」8月1日〜10月31日→七尾市内施設(8月1日〜8月20日→石川県庁ロビー)
「七尾市内発掘速報展」8月1日〜11月30日→七尾市文化財資料展示館(旧七商武道館)
「湯けむり薪能」8月3日(日)16:00〜→和倉温泉湯っ足りパーク特設舞台。鑑賞券A席4000円、B席2000円
「ナイトインサマやたごう」8月23日(土)18:00〜21:00→七尾サンライフプラザ駐車場
「七尾城まつり」9月13日(土)〜14日(日)→七尾城跡周辺
「七尾城ウォーク」9月14日(日)10:00〜→9:30七尾城跡駐車場集合(ハイキングができる格好で)
「能登畠山氏慰霊法要」9月14日(日)10:00〜→七尾市霊泉寺
「第13回『九月十三夜陣中の作』全国詩吟大会」9月14日(日)9:30〜→七尾サンライフプラザ視聴覚室
「源氏物語千年紀 特別講演」9月19日(金)→七尾市中島町「能登演劇堂」。入場料2000円
「能登国・畠山大談義」9月19日(金)18:00→和倉温泉
「能登畠山氏と文芸の世界展」9月20日(土)〜10月26日(日)→七尾城史資料館・石川県立七尾美術館
「『能登畠山氏と文芸の世界』記念講演シンポジウム」10月5日(日)14:00〜→七尾サンライフプラザ大ホール
「『中世都市と職人』シンポジウム」10月12日(日)13:30〜→七尾サンライフプラザ視聴覚室
「市民劇団『しんしゃく源氏物語』公演」10月18日(土)19:00開演・10月19日(日)14:00開演→七尾市中島町「能登演劇堂」
「七尾城検定」10月19日(日)10:00〜→七尾市役所
はじめに
 2007(平成20)年11月25日で「能登畠山氏七尾の歴史」は創設10周年を迎えました。当ホームページにとっても節目である2008(平成20)年でしたが、この年は能登畠山氏にとっても節目の年でした。畠山満慶が能登一国守護に任命され、能登畠山家が創設されたのが1408(応永15)年であり、2008(平成20)年は能登畠山家創設から600年を数えます。そのため、能登畠山氏の本城があった七尾城のある七尾市では様々な記念事業が行われました。そのイベントに筆者も(と歴史友だちの武藤舜秀様と一緒に)行ってきましたので、その様子の報告を10周年記念特別企画とさせていただきます。
能登国分寺展示館
  能登国分寺展示館(入館料200円)では「能登の史跡展」が2008年8月1日〜10月31日まで開催されていました。能登国分寺の常設展以外のスペースを使ってパネル展を行っていました…が、パネルの内容は下記『ふるさと いしかわの遺跡』の内容のコピーを拡大したものでした。新しい内容や知見が得られるものと思って期待していただけに少し残念。ただ、予算が少ない「能登畠山家創立600年事業」の中、なんとか参加しようと思ってくださった気合は評価できます。
能登国分寺跡展示館
(写真:能登国分寺展示館)
能登国分寺跡展示館入口
(写真:能登国分寺跡展示館入口)
いしかわの遺跡表紙
(写真:『いしかわの遺跡』表紙)
 
石川県立七尾美術館
 石川県立七尾美術館は1995年に能登地区の芸術文化振興の拠点として開館しており、七尾の出身である長谷川信春(等伯)の作品の常設展示や企画展示を毎年行っています。 2008年は能登畠山家創立600年事業の一環で、「能登畠山氏と能登の美術」が9月20日(土)〜10月26日(日)まで開催されていました(館内撮影不可なので展示内容の写真はありません)。能登畠山氏の系図から7代当主・畠山義総らが詠んだ「賦何人連歌」(石川県指定文化財)や9代当主・畠山義綱の安堵状などの古文書の他、長谷川信春(等伯)の作品や松波義親像など絵画も出品されていました。
 能登畠山氏の本城である七尾城の麓にある「七尾城史資料館」は、当初個人で運営されていたこともあり比較的規模の小さい資料館です。能登畠山氏を体系的に理解しようとするには、まだまだ足りないと思っていた。しかし、この七尾美術館の展示内容はなかなかでした。惜しむべきは企画展の図録が販売されていないことです。無料で企画展のパンフレットはもらえましたが、それだけは物足りない。すべての出品作品に説明をつけた図録を販売してほしかった…。一方、ほとんど毎年行われている長谷川等伯関連の企画展の図録は販売しています。
石川県立七尾美術館
(写真:石川県立七尾美術館)
七尾美術館入口
(写真:七尾美術館入口)
 
七尾城址
 能登畠山氏の本城である七尾城。天守閣などはありませんが、1936(昭和9)年に国指定史跡に指定されるほど歴史的価値のある城跡です。2007(平成19)年3月に起こった「能登半島地震」。震源地は輪島方面でしたが、七尾城にも被害が及び、調度丸の石垣などが崩落する被害がありました。石垣の修復が計画されましたが、七尾市の折からの財政難もあり、修復が完了したのは2008(平成20)年8月となり、七尾城まつりの1ヶ月前でした。修復は石垣だけでなく、調度丸付近の遊歩道や階段にも及び、歩きやすく整備されました。これを機会にぜひ、七尾城を訪れてみてはどうでしょうか?
七尾城・調度丸石垣
(写真:七尾城・調度丸石垣)
七尾城・調度丸石垣下通路
(写真:七尾城・調度丸石垣下通路)

七尾城史資料館
 七尾城の麓にある「七尾城史資料館」(入館料:200円だが、隣の懐古館飯田家と合わせると入館料は400円)では、「能登畠山氏と文芸の世界」という展示が2008年9月20日(土)〜10月26日(日)まで行われました。従来から展示されている畠山氏系図や畠山義総(複製)や古文書や七尾城出土品の他、新たな作品が出品されました。中でも注目は七尾城の城下町を通る計画の能越自動車道計画地から発掘された出土品です。金を溶かした坩堝(るつぼ)や、「永禄」(1558年〜1570年)銘の石製狛犬台座など北陸を代表する都市「七尾」の様子の一端がうかがえます。資料館では『七つ尾』という雑誌が購入できます。同雑誌の25号は「七尾城特集」です。
七尾城史資料館
(写真:七尾城史資料館)
七尾城史資料館・入口
(写真:七尾城史資料館・入口)

「能登畠山氏と文芸の世界」記念講演シンポジウム記念講演シンポジウム
 「能登畠山家創立600年記念事業」の一環として2008年10月5日(日)七尾サンライフプラザ・大ホールにて「能登畠山氏と文芸の世界」記念講演・シンポジウムが行われました。参加者は300人ほどはいたでしょうか。シンポジウムの講師とし冷泉家25代当主・冷泉為人氏が「冷泉家の歴史と文化」という演題で講演を行いました。冷泉氏が講師に選ばれた理由は、今から600年ほど前の1526(大永6)年に室町時代の公家・歌人であり上冷泉家6代当主である冷泉為広が2回目の七尾城訪問で、同地で死去したという七尾との縁です。冷泉為人氏は、現代の冷泉家におけるしきたりなどを写真を交えて詳しく1時間ほどお話してくださいました。
 その後は、東四柳史明氏をコーディネーターとして、冷泉貴実子氏(冷泉為人氏の奥方)と藤島秀隆氏(金沢工業大学名誉教授)と鶴崎裕雄氏(塚山学院名誉教授)の4氏がパネルディスカッションを行った。それぞれ「冷泉為広塚の再興について」、「中世の猿楽と能登について」、「中世の連歌について」などをテーマとしてお話してくださった。しかし、時間が約1時間ちょっとと限られていたこともあり、詳しい話に今一歩踏み込めずに終わった。しかも、パネラーが17:00七尾駅発の列車で戻るということで列席者の質問にも答えてることができませんでした。参加者としては結構不満の残ったシンポジウムとなってしまいました。
 翌週の10月12日には、「中世都市と職人」というテーマでシンポジウムがあり、こちらは七尾サンライフプラザ視聴覚室で行われるということで、非常に少人数の参加者だったそうです。国立歴史民俗博物館の小野正敏氏が中心となり七尾、堺、豊後府内、博多と最新の考古学的発掘調査の状況についての話などがあったそうで、非常に興味深いそうだった内容だったので、そちらに行けばよかったとちょっと後悔もしました。
七尾サンライフプラザ入口
(写真:七尾サンライフプラザ入口)
七尾サンライフプラザ内・大ホール
(写真:七尾サンライフプラザ内・大ホール)

七尾市文化財資料展示館
 旧七尾商業高校の武道館にある七尾市文化財資料展示館では「七尾市内発掘速報展」が2008年8月1日〜11月30日まで行われました。ここを最初に訪れたのは10月5日(日)。しかし、建物は空いておらず何と「土日休み」という事実が発覚。これでは普通の土日休みのサラリーマンは見ることができない…。そもそもこの旧七尾商業高校の校舎は現在は七尾市教育委員会が文化財の保管のために使っている。それゆえ、この展示館にも発掘調査の市の職員がおり、そのため土日の休日休みとなっているようだ。ということで、普通の市役所の扱いと同じと言え、観光客などの利便は考えられていないようだ。
 「七尾市内発掘速報展」のパネル展示はそこそこでした。これも能登国分寺資料館と同じで、限られた予算の中でがんばっているなあという感じです。それよりこの展示館で何よりもすばらしいことは、この展示館内には展示されている出土品だけでなく、棚に市内の遺跡で発掘された出土品が山積みされていることです。その山積みの出土品を職員の方が色々丁寧に説明してくれました。本当はこの展示館に30分ほどの滞在予定だったのですが、1時間以上も滞在して楽しんでおりました。私的に大満足でした。
七尾市文化財資料展示館
(写真:七尾市文化財資料展示館)
七尾市文化財内
(写真:七尾市文化財内)
 
まとめに
 以上が私の「能登畠山家創立600年記念事業」のレポートです。私は能登より遠くの地に住んでいるので、すべてのイベントには行けないのが残念でした。9月14日に行われた「能登畠山氏慰霊法要」や、10月12日に行われた「中世都市と職人」のシンポジウムや、10月19日に七尾市役所で行われた「七尾城検定」にも本当は参加したかったですが、残念です。全体的にイベントを総括するともうちょっと費用を書け大々的にできないものかと思う気持ちもありますが、これまで2002年に放送されたNHK大河ドラマ「利家とまつ」において前田家関連が大きく取り上げられた(例えば小丸山城に前田利家の銅像が建てられたなど)のを思うと、七尾で能登畠山氏のイベントをやってくれてよかったなあと思ったりもします。こういったイベントを通して、ぜひ七尾市のみなさんにも能登畠山氏のことを詳しく知ってもらえたらな、と思います。今度はぜひ能登畠山氏関連のイベントを当サイトでタイアップできればいいな、なんて思ったりもしますが…。
 今回の能登訪問でまたサイトの大々的更新を行うことができました。今後ともサイトの更新を続けてより一層歴史の勉強を推進をする所存です。今後とも「能登畠山氏七尾の歴史」「加賀冨樫氏野々市の歴史」「ぱすてるの〜と」をよろしくお願いします。

平成廿年十一月廿五日
畠山源匠作義綱(花押)


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