バスと新幹線

義綱の経済講座


最新の経済の話は「きままな能登ブログ」の政治・経済の項にあります。

第20回「JR東日本のお薦めは…」2004/07/22(Thu)
 ながらく経済講座が空いてしまいました。最近はあまり経済の勉強をしていないので、それほど詳細に語ることもできなくなってしまいましたが、小ネタとしてご覧頂ければと思います。
 JR東日本(正式名:東日本旅客鉄道株式会社)は、しきりに「北東北の旅」をお薦めしている。しかも、ここ数年それは全く変らない。この謎は意外に簡単に解ける。以下にその理由を述べる。
(1)首都圏からJR東日本管内で一番遠いのは「北東北」(青森・秋田・岩手)である。だから運賃収入的に儲かる。
(2)今後も東北新幹線の延伸が見込まれ、話題としてはちょうどよい(近く新幹線が「新青森」まで延伸される予定である)。
これがJR東日本が北東北の旅を薦める理由である。京都だと、新幹線の管轄がJR東海(JR東海自体東海道新幹線の収入のみで成り立っている。在来線のJR東海道線の特に静岡県内は大赤字である)になってしまうので、JR東日本は儲けられない。長野新幹線はJRの管内だが、まだ距離が短い(将来的に北陸新幹線と繋がる予定である)。上越新幹線もまだ距離が短い。となればやはり(1)の東北新幹線がターゲットとなる。(2)については、長野−北陸−上越新幹線が将来的に繋がり延伸が見込まれているが、やはり北海道新幹線と接続予定の東北新幹線縁新の方がインパクトが強い。ということで、JR東日本は今後も「北東北の旅」を永遠にお薦めしつづけることになるだろうと予測される。

第19回「再版制度と価格」2001/03/25(Sun)
 新聞・書籍・音楽CDなどの再版制度の存続が決定し、事実上10数年にわたる再版制度論議に終止符が打たれた。再版制度とは、著作権など知的所有権や文化的なものを守る目的で、価格の定価販売を義務付け、売り手側の権利を保障するものである。これはしばしば消費者の権利と相反し、それゆえに再版制度の存廃が論じられたのである。では具体的に再版制度がなくなるとどんな影響があるのか。書籍の例だと、あまり売れない専門書などが置かれなくなり、売れる雑誌・コミックなどばかりが書店に並ぶ。そのかわり、値段は定価以下になる。私の場合、歴史書などを店頭で見たいので、書籍に関する再版制度は賛成だ。しかし、新聞や音楽CDはどうか。新聞の場合、日本特有の制度新聞宅配制度が再販制度廃止によって影響があるという。しかし、諸外国ではコンビニや駅などで新聞を買うのが日常的であり、その価格もずっと日本より安い。音楽CDに置いては、やはり演歌など売れ行きが鈍いものの販売スペースが小さくなろう。しかし、音楽CDについては書籍よりディスクの値段が安くて済むので重版などもスムーズであると思うので、あまり影響はなかろう。それより、最近シングルCDなどの値段が1200円に上がっているなどと寡占価格の方が問題あると思う。それゆえ、私は新聞・音楽CDなどの再販制度には反対であった。しかし、制度存続が決まってしまった以上、新聞には悪徳新○勧誘の追放や、新聞価格の値下げ努力。音楽CDには一層の値下げ努力と予約CDなどの取扱いをスムーズにやって欲しいと思う。(まあ、書籍も予約してから手元に来るまで1ヶ月もかかる現状は問題があろう。)

第18回「景気回復大作戦」2001/03/10(Sun)
 とうとう日経平均も13000円を割り込み99年以来のデフレスパイラルが懸念されるようになった。このどん底の不況をどうしたら克服出来るのであろうか。第17回にも書いたのだが、経済動向というのは一般市民のメンタル面というのが非常に大きなウエイトを占めている。人の精神面と言うのはあらかじめ最悪の事態を回避する為、常に悪い情報が優先されて考え事をする(良い情報を優先すると失敗した時の代償が大きい故)。それゆえ、「世界大恐慌の前触れか?」といった不確かな情報でも悪い噂には敏感に反応し、「日銀が公定歩合引き下げ」などのてだては経済の専門家に言わせると「市場は折込済みで反応無し」ということになるのだ。
 ではどうしたら、メンタル面で良い情報に反応させるのか。それは、確固とした「良い情報」である事が前提条件となるのである。つまり、「本当に効果があるの?」というのではなく、「これはいけそうだ!」と思わせる事である。それには、構造改革でも、景気対策でも断固とした姿勢が問われる。でもマスコミが視聴率の取れる「悪い情報」ばかり発進する為、市民が過剰に反応してしまうとも言える。景気回復大作戦をするにはまずマスコミの姿勢改善が必要か(爆)

第17回「デノミネーション」2001/02/02(Fri)
 デノミネーション(以下デノミ略)とは「通貨の単位変更」のことであるが、日本で最近デノミと言うと、「100円=1新円」とすることをさす。99年にデノミを論議する委員会で審議された結果、「2002年1月1日を期して新円切替を提言する」というものであったが、本当にデノミが起こればどうなるのであろうか?たとえば、一本80円のシャーペンは新円だと85銭となり1円以下の値段となる。月10万円の賃貸マンションは月千円。国家予算は6000億円くらいとなる。デノミのメリットはドル、ユーロと円のレートが対等になる事である。例えば今のレートが1ドル=1ユーロ=100円とすると。デノミによって、1ドル=1ユーロ=1円となる。そうなると、形の上でも円がドル、ユーロと並ぶ国際通貨としてのみられるようになる。
 では、デノミをするとどのような変化があるのであろうか。一見値段が1/100になっただけのようにも思えるが、これが意外と問題を抱える。まず、レジ。ニ千円札の発行でレジの規格替えが行われたが、今回はもっと大幅な変更となる。さらに、家計簿ソフトの全面的変換も必要となる。それにともなう値段表示も変えなければならない。それよりもっと大きな変化があるのは、一般市民のメンタル面である。一見収入も1/100になるわけで、十分な政府の広報活動がなければ経済活動(家庭の支出)が減退してしまうのである。そうなれば、不景気が続く日本でさらにデフレが進む事となり、一層景気回復は遅れる事となる。ゆえに、完全に景気が回復するまではデノミは延期するのが良いであろう。

第16回「セガ、ドリキャスの生産中止?」2001/01/26(Fri)
 初めに、タイトルに?が付いているのは、セガの正式発表がなされていない為であるので御了承願いたい。24日夕方頃のニュースで「セガ、春にもドリームキャスト(以下DC略)生産中止」という報道がされた。23日には、セガが他ハードへのソフト供給かという報道、24日は同報道でセガ株は連日の200円上昇でストップ高となった。セガのソフト開発力はかなりのものであるから、他ハードへのソフト供給で売上激増期待との投資家のにらみであろう。
 さて、ここで問題にしたいのは、その報道のされ方である。DCの販売不振をPSが7600万台、N64が3100万台販売したのに対し、DCは600万台しか販売していないという数字を挙げた。しかし、この比較対象はちょっと違う。それぞれの主力商品との比較という点では良いが、SCEの比較対象ハードはPS2にすべきではなかろうか。キラーソフトが無いと言う点ではPS2も同じなのである。では、DCの真の敗北要因はなんであろうか。それはイメージである。いまゲーム業界を席巻しているのは、ライトユーザーと呼ばれる、あまりゲームをやり込んでいない人達である。駄作ソフトが氾濫しコアユーザーは数年前に比べてだいぶ減った(又は購入ソフトを減らした)。その為、コアユーザー受けするDCは販売台数が伸びなかったのである。だからと言ってSCE陣営の勝ちと言って良いのか?それは違う。ゲーム業界は始めて1999年度で前年比の業界売上をマイナスにさせた。これはゲーム業界に魅力が無くなっていることを示す。では何故魅力がないのか?SECの主力ハードPSでのアタリショックさながらの駄作ソフト氾濫が要因である。コアユーザー駄作ソフトに幻滅し、ライトユーザでさえも駄作ソフトにゲームに魅力を感じなくなっている。さらに、キラーソフトであるFF、DQといったにも勢いの減退が見られるのである。それはひとえにゲーム時間の長さ、ゲームの複雑化が原因であるとも言える。ゲーム業界はこの先暗黒の時代を迎えるのであろうか・・・。

第15回「住む場所の難しさ」2001/01/15(Mon)
 現在引越しを考えており、物件もだいたい決まり、手続きの段階へ進む。でも、今回は非常に難しい物件探しであった。「ねこの話」でもあるように、大学に住む猫ちゃんの「たっち」を引きとって一緒に住もうと考えているので、最大条件は「ペット可」。これだけで、だいぶ物件は絞られて私の住みたい、今住んでいる自治体市はほぼ全滅となった(あっても非常に間取りが悪いか家賃が高い)。さらに現在の物件が手狭になったので、二部屋以上(2K、2DK等)を目指して探していたが、現在住んでいるところはワンルームばかりしかないという。その理由は「ニ部屋になると、ワンルームのほぼ倍の面積を使うのに、家賃が倍も取れない(約1.2倍〜1.5倍ほこ)」ということだそうだ。自治体はよく「○○は魅力的な都市!是非住もう!」とあるが、住みたくとも住宅がないという事情もあることを忘れないで欲しいと思う。それにしても、物件探しは、頭の中で考えるうちは楽しいけど、不動産屋に行くと、色々条件面で厳しい事も言われ、理想どおりにはいかないものである。そのうち高級取りになって、不動産屋を見返してやる!!と密かに思う義綱であった・・・・。

第14回「さらなる株安」2000/12/23(Fri)
 東証の日経平均が14000円を割りこんだ。世界同時株安の中でも日本の下げ幅は大きい。これは、日本が本格的な民需回復に至らず、消費不況であることが要因である。消費不況というのは経済の大原則である「拡大再生産」の一番まずいパターンで、新たな投資も呼ばないし、下手をすると「デフレスパイラル」(デフレし続ける)になる畏れもある。1998年にはその不安もあったが、政府の下支えによって難とか脱した。だが、政府が下支えするには多額の費用が必要で、財政赤字も甚だしい日本ではこれ以上何年も大幅な財政支出をするわけにはいかないあ。ではどうしたら良いか。
 そのヒントは日本の戦後財政にある。第二次世界大戦後、日本は財政状態が良くないなかで何とか景気を立て直そうと「傾斜生産方式」という財政支出をとった。これは、重点産業に集中的に資本を投下するという政策である。今で言うならばIT産業に「傾斜生産」をすべきである。日本は地方も含め、とかくインフラ整備は進んだ(まだ十分じゃないとおっしゃるめでたい議員もいるようだが、財政状況を考えられないらしい)。であるから、景気回復まで一旦インフラ整備費を縮小して、IT産業に予算を費やすべきだと思う。

第13回「米価下落−需給のバランス−」2000/11/07(Tue)
 ある新聞の社説に「米価下落」問題が取り上げられていたので、それに関する私の見方を一言。最近の米政策といえば、減反政策につきるといえる。米が余るので、生産する量を減らす=減反政策という単純な図式である。これは、与党の支持母体に農業関連団体があるので、なかなか実現しなかったが、切羽詰った農家も重い腰を挙げてなんとか減反も進みなんとか政府余剰米も減少してきた。しかし、米に対してこんな政策を続けていて良いのだろうか。現在でも米の消費量は落ちつづけている。これは主食が多様化した理由だけに留まらない。米そのものの魅力が減少したのではなかろうか。
 米を食べなくとも主食はある。何故、高い国産米を食べさせられているのかなど、消費者が考える問題は少なくない。その上、食べ物の管理の都合上、学校給食の主食はパンであった。これでは給食で育った少年が将来主食を米にするかどうか疑問だ。何故日本人は米を食べなければならないのか。それは食料自給率の問題である。多様化した主食の中で、食料自給率が80%を超えるのは米だけであろう(小麦などはほとんど輸入に頼っている)。と言う事は、例えどんなに食糧不足が起こったとして、世界の国々が日本に食料を輸出しなくとも米だけはなんとか現在の水準を維持できるのだ。しかし、このままでは、米以外を主食とした人が食糧不足の時に米を買い求め、米も不足する事態となる。食料不足の時だけ米を増産するというのはどだい無理な話だ。えっ?政府は余剰米をたくさん持っているじゃないかって?1990年代初めに起こったし「平成米不足」で政府はほとんどの余剰米を吐き出したが、それでも足りず輸入せざるを得なかった。これは、余剰米が米不足を解消する役割をしていないことを表しているのだ。
 それゆえ、普段より米の需要を高めて生産量をkeepする事が重要なのだ。しかし、現在の政府の政策は米の供給を調整することだけに主眼を置いている。これでは、逆効果なのである。政府は盛んに「たくわえ君(政府余剰米のこと)を食べよう!」などとCMを打っているが、これでは米の需要喚起には全くならないことは言うまでもない。需給のバランスがとれて初めて、消費者も生産者も納得のいく売買が出来るのだ、それを政府自ら壊しているのだ!

第12回「バブル期の狂奏曲」2000/10/22(Sun)
 1980年代後半から1992年初めまで続いた「平成好況=バブル景気」。世の中景気の良い話ばかりでこの頃の経済学者は「パックスヤポニカ」の時代がくる(世界で日本が中心ということ)とまで言われたほどの時代だった。こんな頃には今から見ればとんでもないようなことを考える人が出てくるもんだというような書籍にたまたま出会ったのでここで紹介しようと思う。
 その本は『TOKYO大改造』(黒川紀章著、徳間書店.1988年)という本である。東京湾(港)が開港したのは、意外に歴史が浅く第二次世界大戦開戦年である1941年である。東京湾は海底が浅く大型船の進入が困難だったが、当時の政府は軍事的必要性から海路を作ったのである。そんな東京湾に度肝を抜く計画がまことしやかに提言されていたのだ。この本によれば、東京の地価高騰を解消する為、交通の利便性を高める為、東京湾の半分以上を埋め立て人工新島をつくるというものであった。今で言う臨界副都心の膨大な拡大版である。その建設予想費用77兆円(現在の国の借金が600兆円であるから、この金額はかなりの費用である)。黒川氏は膨大な費用を使っても、後に埋め立てた土地を売却すればなんとかなる(バブル期は土地の値段がものすごーく高かった)とでも思ったのであろう。東京湾の半分を埋め立ててしまったら海の生態系のみならず、現在でも問題になってしまう千葉の三番瀬も浚渫されてしまうだろうから野鳥などの生態系もぼろぼろになってしまう。まったく時代と言うのは恐ろしいもので、環境問題が叫ばれている今ではとても考えられない計画が、この時代にはかなり現実味を帯びていたのだ。不況になって、環境破壊を続ける河川事業在り方なども徐々に改善されてきている(川や湖のコンクリート護岸から緑化護岸等)。多少はこの平成不況も良い事をもたらしたのだなと、深く思ったのであった。なお、同じ1988年刊行で『提言東京湾保全と再生』(田尻宗昭編、日本評論社.1988年)では違った観点で東京湾自然と共生する方法を著しているので、前掲書と対照的な本と言う事でここに挙げておく。

第11回「日経平均銘柄入れ替え」2000/09/11(Mon)
 今年の9月8日、日経平均を構成する225銘柄のうち、6銘柄を入れ替えることとなった。日経平均の銘柄入れ替えは実は毎年今の時期に行われており、珍しい事ではない。しかし、今年の4月に30銘柄に及ぶ大規模な入れ替えからクローズアップされたのだ。今回の入れ替えはみずほグループ設立に伴なう、勧銀・興銀・富士銀の上場廃止や、KDDIの誕生によるKDDの除外などが主なものである。変わって、横浜銀行やみずほホールディングスなどが採用されることとなる。4月の入れ替え以来、銘柄入れ替えと言えば株安が懸念されるようなイメージがあるが、毎年行われていし、小幅な入れ替えにとどまったことから株価に対する影響力はそんなにないのではなかろうか。とにかく過敏に反応することはやめてほしいと思う。

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