情報は2011年9月現在

梁川城
(福島県伊達市)
梁川城

 東日本大震災からの復興途上にあり、原発問題を抱える福島県。その復興支援の一助になればと2011年9月10日(土)〜9月11日(日)に歴史友達の武藤舜秀様と、福島に旅行に行ってきました。今回はその中で、伊達市にある梁川城などを紹介します。


 福島県歴史資料館の職員の方に「梁川城を見るなら、ぜひ見てほしいのが枡形です。桜岳団地にかなりの高さの土塁もあるので見ものですよ。」と教えてもらいました。地図までいただき感謝もひとしお。
 福島市から伊達市に入り職員の方に教えられたとおり「ヨークベニマル」を見印に曲がり桜岳団地に進みます。
梁川城
武藤様「これって土塁ですかね?畠山さん。」
と2人で半ば興奮状態。でも、こんなのは序章に過ぎませんでした。
梁川城
 この辺は急傾斜地崩壊危険地域らしいです。というとかなり大きな土塁があるんだろうか。もともと地形がそうなっているんだろうか。と思ってさらに進むとありました。
梁川城
 団地の横に結構な土塁です。でもこれだけ見ると「山がちなところに団地削って作ったんじゃないの?」と思ってしまいますが、これならど〜だ!
梁川城
 見事なまでに直角に土塁が曲がっています。これは人工物としか思えない。そしてさらにさらに…
梁川城
 これは完全に枡形です。しかも高さが建物の1.5階分くらいあります。しかも枡形自体もかなりの大きさです。梁川城はどれだけ大きい城だったのでしょう。この遺構に思わず武藤様も「これはすご〜い!」とびっくりしていました。当初は、梁川小学校敷地内にある梁川城庭園跡だけを見るつもりでしたが、この枡形を見ないと損するね…というほどすごいものでした。福島県歴史資料館の職員の方に感謝感謝です!
梁川城
 この枡形は伊達氏時代の梁川城大手門と説明版には書いてありますが、戦国時代にこれほど大きな枡形が築けるでしょうか。ちょっと疑問なところはあります。安土桃山期の城郭かもしれません。東北の室町戦国時代に詳しい武藤舜秀様の話によると、「土塁は上杉が農民を徴集して作らせたとも書いてあるし、北に向かって大規模な土塁ですから、上杉で確定で良いと思います。」とのことです。伊達時代なら北は自領ですが、上杉時代なら北は伊達領です。北を防備したということは、上杉時代ではないかと武藤様は指摘されています。
 この場所は福島県指定史跡になっているそうです。この枡形を生かさない手はないんですが、このあたり元城跡だけあって公有地ならではの建物が多く建っています。団地に小学校・中学校・高校まであります。それだけに梁川城をPRするように整備するのは難しそうです。

 では、梁川城の庭園に行きましょう。庭園は梁川小学校の敷地にあります。敷地は部外者を阻むような門はありませんが、それでも小学校の活動中に入ると、それこそ福島県歴史資料館の職員ですら「誰この人?」のような目で小学生に見られたようです。
梁川城
 ですので、入るならこちらの浅間神社側から入るといいと言われました。梁川保育園の前に駐車スペースがあるので、そこから降りて歩くとほんの1・2分です。

梁川城
 これがその庭園です。こんなものが小学校にあるなんて羨ましい。庭園にあった説明版によると、本丸跡では発掘調査が行われており、主殿跡など建物の遺構を25棟の他に井戸、石敷き中国銭や陶器なども出土しており、伊達氏時代の居館が確認されました。「庭園も伊達氏居城の時代にまでさかのぼることが推定され」とあるので、庭園時代の発掘調査は行われていないようです。先ほどの大きな枡形といい、この大きな庭園といい本当に伊達氏時代なんでしょうか?
梁川城
 庭園はかなり大きいものです、中ノ島が2つ配置されています。そういえば、会津若松市の福島県立博物館で、梁川城の模型がありました。
梁川城
(福島県立博物館展示模型)

庭園の全体模型です。
梁川城
(福島県立博物館展示模型)
この庭園近くにある建物は、たぶんこれは「会所」でしょう。客人をもてなすために庭園があったと思われるので。本丸の発掘調査が行われているのならば、この模型の建物も発掘調査を生かしてつくられているんでしょうか?

 梁川城庭園は京極氏の館や江馬氏館と比較しても遜色ない大きさです。1532(天文元)年に伊達稙宗が居城を桑折西山城に替えるまで本城だったそうです。水がある庭園は15世紀初頭くらいまでで、15世紀中庸ならばそろそろ枯山水が庭園のブームになってきます。まあ朝倉氏の居館では水がある庭園がありますから、枯山水以外考えられないというわけではないですが。どうなんでしょ?


梁川城
 梁川城の本丸は梁川小学校のグランドになっています。おかげで本丸の発掘調査があったわけですが…。


BACK


Copyright:2011 by yoshitsuna hatakeyama -All Rights Reserved-
contents & HTML:yoshitsuna hatakeyama