情報は2009年8月現在

宇都宮城
(栃木県宇都宮市)

 宇都宮氏の重臣・芳賀氏の居城・飛山城は宇都宮市にある。宇都宮と言えば、やはり「宇都宮城」。飛山城からおよそ8kmほどしか離れていないので飛山城訪城したついでに訪城することにした。
 私は7・8年前に宇都宮城に行ったことがある。しかし、この時にはお城らしいものは何もなく、僅かにあった本丸跡に清明館という資料館のようなものもあったが、たいした展示もなくガッカリした思い出がある。宇都宮城は戊辰戦争の際に土方歳三らが率いる旧幕府軍に攻められ城の大半が焼失したと言われる。さらに明治になると建物の払い下げが行われた。城跡は陸軍の管轄となり国有下されていたため、なんとか開発を免れ土塁や堀などは残っていたが、1889(明治22)年に城跡の払い下げが決定し、どんどん民有地化され、市街地となって1950(昭和30)年ごろには完全に城の遺構は消えたと言う。「宇都宮市のシンボルを」という願いから、2007(平成19)年3月に櫓や堀などを復元し「宇都宮城址公園」としてオープンした。まあ復元したのは近世城郭なので何かがあったらついでに行ってみたいなと思っていたので、飛山城のついでに行きました。

 上の写真真ん中に小さく見える「P→」の看板。宇都宮城址公園には無料駐車場が5・6台分あるが、宇都宮市役所のすぐ近くということもありいつも満杯らしい。今回も残念ながら満車状態で、仕方なく市役所すぐ横の公営有料駐車場にとめて公園へ。有料公営駐車場のすぐ横がもう城址公園で、すぐにこのような写真の景色が広がる。写真に見える櫓は富士見櫓といって、今回復元された2つの櫓のうちの1つである。



 さて、いよいよ宇都宮城に向かおうとすると、すごい違和感を覚える。

 防御拠点であるはずの城の土塁にポッカリ穴が…。というのもこの城址公園を整備するのに、1989(平成元)年から発掘調査が行われていた復元事業。土塁・堀・櫓2つを復元するためにかかった費用は36億円という。2008(平成20)年度の宇都宮市の予算が1659億円であるのでわずか2%ほどになるが、それでも巨額の出費である。そこで、市民から国からの予算を獲得するために、「都市防災公園」(大火の際の避難地)としての機能を持たせるために、大人数が公園に移動できる入口を設けざるを得なかったという事情もある(その結果市の負担は9億円ほどになったという。9億円で復元できるなら、ぜひ七尾城も…)。
 また、宇都宮城は城壁が石垣でなく、土塁という近世平城にしては珍しい、中世平城的な特徴をもっている。しかし、耐久性などの理由で現代の建築基準法などの基準では、復元した土塁には建築物を建てられないという事情があり、復元の担当者も断腸の思いで、コンクリートで基礎を作り、それを土で覆って土塁としたと言う。
その辺の事情が「広報うつのみや」にでている。(下記URL参照)
http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/localhost/sougouseisaku/kohokocho/kohoshi_koho/2009/02/32-37.pdf
 現代の法令、工法や建築物の安全性、利便性を考えると、こういった「土塁の穴」も仕方ないのかもしれない。




 「土塁の穴」には苦肉の策か、「宇都宮城ものしり館」(入館無料)という展示スペースがある。写真の宇都宮城の模型や、発掘調査の出土品などをみることができる。また、「まちあるき情報館」もあり、宇都宮市の観光情報も知ることができる。



 「宇都宮城ものしり館」から土塁の上にエレベーターで上がることができる。エレベーターは、バリアフリーのためと前述した公園構造上の理由がある。土塁の上からの景色はなかなかよい。また、復元した櫓(富士見櫓と清明櫓)に入ることができるなど、なかなかの配慮がされている。



 上の写真は清明櫓から、宇都宮城の中を撮ったものである。写真奥に見える公園内唯一の建物は「清明館」(入館料無料)といい、復元される前にもあった宇都宮城の展示館である。現在は、宇都宮城関係の展示は「宇都宮城ものしり館」で行っているので、中世・近世の資料は全くなかったのが残念。宇都宮城の復元はまだ途中で、今後も本丸御成御殿、本丸清水門、本丸伊賀門を復元を計画・予定している。さらなる本格的な復元を期待して、その頃にまた訪城したいと思う。



 さて、訪城した時は時刻もそろそろ12時なる頃だった。ご飯時。宇都宮と言えばやはり「餃子」。もちろん、食べてきました。舞茸餃子や激辛餃子など12種類の餃子がひとつになった餃子セット1050円。うまい。


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